プラント・工場閉鎖の注意点を解説! 事前調査や機械の処分も重要です  

皆さんこんにちは。神奈川県藤沢市を拠点に、関東地方や静岡県でプラント設備解体工事・機械据付工事・中古機械買取などを手掛ける芝工業株式会社です。


巨大な設備であるプラントは、作る時だけでなく閉鎖する時にも大きな労力がかかります。解体工事には危険を伴い、プラント内にある機械や廃棄物・有害物質なども処理しなければなりません。費用を抑え、トラブルを起こさずに閉鎖するためには、事前準備も含めて計画的に進めることが大切です。ここではプラントを閉鎖する際の注意点や、事前調査で確認すべきポイントをご紹介します。




■プラント設備とは?



プラントとは、エネルギーや工業材料など、私たちの生活や経済活動に欠かせないものを作る産業施設のことです。たとえば、原油からガソリンや灯油を作る「石油プラント」や、化学物質を作る「化学プラント」など、さまざまな種類のプラントが存在します。プラントがなければ、現代社会は成り立たないといってもいいでしょう。


そんなプラントも、設備の老朽化や移転・統合などによって閉鎖されることがあります。この際、当然ながらプラントは解体しなければなりません。具体的な解体対象物としては、工場建屋、生産設備、薬液・原料タンク、煙突、ボイラーなどがあります。


これらを解体する時は、ダイオキシンや強アルカリ性・強酸性物質など、環境に悪影響のある物質が飛散・流出するリスクがあり、十分な注意が必要です。また、通常運転時とは異なり、設備内の温度・圧力・酸素濃度・水素濃度などが厳重に管理されていないケースも多く、場合によっては大事故につながります。


つまりプラント解体は、ただ設備や建物を壊せばいいわけではなく、地球環境に配慮し安全第一で行わなければならないのです。解体時に出た廃棄物や不要になった機械の処理なども含め、計画的に行う必要があります。




■移転や統合によるプラント閉鎖で注意すべきポイント



プラントの閉鎖は、さまざまな点に注意して進める必要があります。特に注意が必要なポイントを確認しておきましょう。



・残置物の処分



プラントを閉鎖し解体する時は、内部にある機械や什器類といった「残置物」も処分する必要があります。残置物を放置すると、解体によって発生した廃棄物を放置した場合と同様、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づく罰則を受ける可能性があるため注意しなければなりません。


残置物の処分は解体業者に任せることもできますが、量や種類が多いと作業に時間がかかり、費用がかさんでしまいます。


そのため、残置物はなるべく自社で撤去・処分するのがおすすめです。すべてを撤去するのは難しいかもしれませんが、残置物をできるだけ少なくしておけば、そのぶん作業時間が短縮され費用も削減できます。不用品は処分し、他のプラントで使える機械は移設しましょう。必要なくなったけれどまだ使えそうな機械は、買取に出すのも有効です。



・工事スケジュール



プラント設備の解体は大掛かりな工事となり、完了までに一定の日数を必要とします。そのため、工事のスケジュールにはなるべく余裕を持たせておくことが大切です。


まず、プラントの解体が決まったら、できる限り早めに施工業者を選んで相談しましょう。開始までに時間の余裕があれば、業者も柔軟に対応しやすくなり、自社の都合に合わせた工期を設定しやすくなります。もちろん、工事の質も高くなるでしょう。


また、なるべく閑散期に工事の予定を入れると、思い通りのスケジュールが組みやすくなり、費用も安くなる可能性があります。一般的には、12月~3月が解体業者の繁忙期なので、この時期を避けて依頼するのがおすすめです。



・費用面



プラントの解体工事には大きな費用がかかるため、なるべく費用負担を抑えられるように工夫する必要があります。まず、プラント解体費用の坪単価の一般的な相場は、3万円~5万円/坪程度です。1,000坪のプラントであれば、3,000万円~5,000万円程度かかることになります。


特に費用が高くなるのは、プラント設備に有害なアスベスト(石綿)が使用されている場合です。アスベストの除去には特別な訓練や研修が必要で、作業中は防護服や防塵マスクの着用が求められるため、必然的にコストも高くなってしまいます。


こういった費用を少しでも安くするために重要なのが、複数の業者から見積もりをとって比較する「相見積もり」です。3社程度から話を聞いて見積もりをもらえば、それらを比較することで大体の費用相場がわかり、明らかに適正でない価格を提示してきている業者を見分けることもできます。


もちろん、金額の安さだけで依頼先を決めていいわけではありません。解体実績や担当者の態度、施工プランなども考慮して決定しましょう。




■閉鎖にあたっての事前調査では何をすべき?



プラントの閉鎖・解体をするにあたって重要になるのが、現場の事前調査です。処分が必要なものや注意が必要な場所を事前に把握しておくと、解体作業や各種手続きがとてもスムーズに進みます。


廃棄物処理法で規制されている内容はもちろんですが、それ以外にも注意すべき点は少なくありません。特に以下のポイントは、必ず確認しておきましょう。



・フロン類の確認



解体工事の前にはフロン排出抑制法に基づき、フロン類が施行されている空調や冷蔵・冷凍機器の有無を調査する必要があります。工事の元請業者には確認調査をする義務が、発注者には調査に協力する義務があるので、協力して確認作業を進めましょう。また、元請業者は発注者に書面を提出して確認調査結果を説明する義務があり、発注者は3年間の書面保存義務を負います。



・アスベストの確認



解体工事をする時は大気汚染防止法に基づき、アスベストに関する事前調査も義務付けられています。工事の元請業者は、事前にアスベストの使用の有無を調査し、「有無に関係なく」結果を発注者に報告しなければなりません。発注者も、事前調査が実施されているかどうかを把握する必要があります。


事前調査は「書面調査」と「現地での目視調査」が必須で、それでもアスベストの有無が不明な場合は「試料採取分析」を行います。調査結果の書面による報告期限は、作業開始の14日前までです。


さらに、一定規模以上の工事を行う場合は、元請業者から労働基準監督署・自治体への報告も必要になります。建物の解体工事の場合は、対象の床面積の合計が80㎡以上である場合に報告が必要です。



・特定粉じん排出作業の届出



解体工事によって、石綿やその他の有害な粉じん(特定粉じん)が飛散するリスクがある場合は、大気汚染防止法に基づく「特定粉じん排出作業の届出」を行います。届出の期限は、作業開始の14日前までです。この届出は「発注者の義務」なので、忘れずに行わなければなりません。


なお、届出の義務があるのは、特に健康リスクの高いレベル1(吹付け石綿など)やレベル2(石綿含有断熱材など)を使用している場合です。比較的リスクの低いレベル3建材(成形板など)を使用している建物の場合は、届出の必要はありません。ただし、この場合でも作業計画は作成する必要があり、こちらは元請業者の義務です。



・PCB廃棄物の処理



PCBとは「ポリ塩化ビフェニル」の略称で、人工的に作られた油状の化学物質のことです。化学的に安定していることから、かつては多くの用途で用いられていましたが、毒性などの問題により現在は使用が禁止されています。


そしてPCB廃棄物は、工事の発注者の責任で処理しなければなりません。しかも、PCB特措法により、PCB廃棄物は原則的に移動すら禁止されています。やむをえない場合は移動が認められることもありますが、事前に保管場所移動計画書を提出する必要があります。


1番いいのは、解体工事が始まる前に処理を完了してしまうことです。間に合いそうにない場合は移動の手続きを取る必要がありますが、どちらにしても工事が始まる前にPCB廃棄物の存在を把握していなければなりません。つまり、事前の段取りが重要です。残置物を整理する際に、PCB廃棄物が含まれていないかを入念にチェックしておきましょう。



・各種法律に基づく施設廃止届



施設の使用を廃止した場合は、その旨を届け出なければならないというルールが、いくつもの法律によって定められています。たとえば、大気汚染防止法や水質汚濁防止法、騒音規制法、振動規制法などです。多くの場合、届出の期限は廃止から30日以内なので、忘れずに確認しておきましょう。



・土壌汚染対策法への対応



土壌汚染対策法(土対法)では、「有害物質使用特定施設」を廃止した場合に、土壌の汚染状況調査を義務付けています。有害物質使用特定施設とは、水質汚濁防止法でいう「特定施設」に該当する、有害物質の製造・使用などをしている施設のことです。この施設を廃止した時は、廃止した日から120日以内に土壌汚染調査を実施しなければなりません。


引き続き工場・プラント用の敷地として利用する場合などは調査が猶予されますが、施設が完全に閉鎖されてしまう場合は、必ず調査を行う必要があります。また、調査の結果「汚染がある」と判明した場合は、都道府県知事に報告する義務も生じます。




■まとめ



プラントの閉鎖は非常にやることが多く、手間のかかるプロジェクトです。工期が長引けばその分費用が増え、法令違反があれば罰金などの処分を受けてしまいます。手続きや工事をスムーズに進めるためには、閉鎖に関わる業務に一括対応してくれる業者に依頼するのがおすすめです。信頼できる業者を選び、手間や費用を抑えつつプラントを閉鎖しましょう。


芝工業では、プラントの解体工事から機械の買取までワンストップで対応しております。プラント閉鎖に伴うさまざまな業務を一括でお任せいただけるので、労力や費用を大幅に削減できるのが強みです。解体工事の際は徹底した安全対策を行い、豊富な経験に基づく質の高いサービスをご提供します。解体工事や機械の処分をご検討の際は、ぜひ芝工業にご相談ください。